知識 /鷲の鬱憤

鷲の鬱憤

カテゴリー: ドモンガット王

- 備考:

クルシオは虚無感に苛まれた。かといって、もう彼には自ら人生を終わらせる気力も残っていなかった。そして、まだ結婚もしていない末娘の王女ジャレットは王になるにはまだ若すぎた。クリフの推薦で再び王位に就いたものの、クルシオは無気力で死人のように生きていた。彼に残された最後の願いは、ジャレットが健やかに育ち最良の伴侶を見つけること。そして、一日も早く彼に王位を譲ることだった。しかし、それも考えているだけで何もしない王に代わり、ロクサーヌと侍女のカロリンがジャレットを補佐することになった。一方その頃、カルフェオンには王家の王女であったイリシアがセレンディアで釈然としない死を遂げたという知らせが届いていた。セレンディアと往来のあるシアン商団から情報を入手しながら、カルフェオンは真相を究明するため正式な公文書を発行し調査団を派遣したいと何度も掛け合った。しかし、彼女の死が夫セルヒオの仕業とは夢にも思っていないクルシオが数度に渡るこの要請を拒否したことにより、結局カルフェオン王ガイ・セリックの怒りを買うことになった。勢いを増すカルフェオンは、王女の死に関する真相究明を名分に大軍を率いてセレンディアに侵攻した。

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